2025年3月22日、日本TBSテレビの番組で、東京のとある公園で「広場舞」を楽しむ中国人女性たちの様子が紹介された。中心となっているのは、2022年から東京で娘家族の暮らしを支えるため来日した、瀋陽出身の金さん(60代)である。
異国の地で始めた、ふるさとのリズム
孫の面倒を見るかたわら、時間ができれば公園へ向かうのが金さんの日課となった。「瀋陽にいた時は毎朝あちこちで広場舞を見かけました。体にもいいし、ここでもできたらと思ったんです」。最初はひとりで『孟子操』を踊っていたが、やがて公園に集まる他の中国人女性たちの目を引いた。彼女たちの多くも中国東北地方の出身で、懐かしい音楽と動きに自然と集まり、輪が広がっていった。
それに、彼女たちは音が拡散しないよう常に配慮していて、携帯電話の小型スピーカーから控えめな音量で流され、手に持つことで音量を控えめにしている。こういった周囲への細やかな気遣いが、彼女たちの高い公共マナーを示す一例ともなっている。
午前の公園が“交流サロン”に
現在、金さんを中心とした広場舞チームは14人にまで成長。毎朝9時から10時までは音楽に合わせて体を動かし、10時から11時は近況を語り合う“おしゃべりタイム”が定番となっている。「体を動かすのはもちろん、同じ境遇の者同士、悩みを分かち合えるのが何よりの支えです」と金さんは話す。
日本人の目に映る「生活を楽しむ力」
鮮やかな動きと明るい音楽は、公園周辺に住む日本人住民の関心も集めている。好奇の目で見守る人もいれば、写真を撮る人、時には簡単な動きを教わり一緒に体を動かそうとする人も現れた。「皆さんとても温かく見守ってくれます。私たちの楽しそうな様子や、前向きな生活態度が、ちょっとした文化交流になればうれしい」と金さんは微笑む。
日本での生活を振り返って
日本での生活について尋ねると、金さんは「食の安全がしっかりしているので、とても安心です」と話し、街の清潔さや、人々の礼儀正しさなどの特徴にも感銘を受けたと続けた。
子育てや教育に関しては、「どちらの国も、子供の教育には本当に熱心で、良い学校へ進ませ、将来安定した職業に就いてほしいと願う気持ちは同じ。学区を考えて住まいを選ぶ点も似ていますね」と語った。その一方で、相違点として「中国では学校の勉強や知識をしっかり身につけることがより重視される傾向があると感じます。日本では、早くから自立性や体力づくり、そして子供自身の好きなことや趣味を伸ばすことにも、同じくらい重きを置いているように思います」と、両国の社会が育む価値観の違いにも言及した。
民間文化交流のかたち
瀋陽から来た一人の女性の習慣が、公園を舞台に小さなコミュニティを生み、日本社会の注目を集めるまでになったこの事例は、市井の人々によって自然と紡がれる、新たな中日文化交流のひとつの形を示している。