最近、葫蘆島市興城の寧遠古城にある店舗の家賃が前年同期比で大幅に上昇している。

　なぜこれほど人気なのか？観光客数が倍増したからだ。昼間は人でごった返し、夜も賑わいを見せ、没入型実景演芸「寧遠にて」とその光影ショーが古城の昼夜を熱気に包んでいる。

　長年パッとしなかった古城や覚華島などの景勝地が、なぜ突然注目の的になったのか？記者の調査によると、葫蘆島市は国有企業に先行してインフラ整備を進め、「梧桐の木」を植えて観光市場を予熱し、その後民間資本の「鳳凰」を呼び寄せて開発を進めることで、文化観光プロジェクトの誘致難題を効果的に解決し、旧景勝地の変貌とブレイクを推進したのである。

　市場の法則に合致した誘致パス

　「寧遠古城は数十年変わらなかった。」これは数年前までのよそ者の観光客の評価であり、長い間古城が閑古鳥が鳴いていた理由でもあった。

　全国で最も完全に保存されている4つの明代古城の一つとして、寧遠古城は社会各界の無限の期待を集めている。

　この「金の茶碗」が本来の価値を発揮できるように、葫蘆島市と興城市の両党委員会・政府はずっと努力を重ねてきた。市県両レベルの指導者は多数の旅行開発業者と交渉し、彼らに専門性を発揮して全体の保護開発を担うよう望んだが、最終的にはすべて実らなかった。しかしこの過程で、彼らは問題の核心を見極め、文化観光開発に適した新たな道を模索したのである。

　誘致がなぜこれほど難しいのか？寧遠古城を例にとると、ここは単なる景勝地ではなく、沿道に約800店舗が並び、さらに住宅地でもあり、現在も城内に約2000世帯が居住している。城内のインフラは老朽化が深刻で、道路は長年補修されず穴ぼこだらけ、雨季になるたびに冠水が問題化。排水管網は詰まりが頻発し、汚水の溢れ出す現象が珍しくない。各種ケーブルは蜘蛛の巣のように頭上に張り巡らされ、車両は無造作に駐車され、閑散とした光景が広がっていた。開発するには、まず水道、電力、暖房などの付帯施設が必要であり、これだけでも数億元の投資が必要だった。

　さらに、寧遠古城は全国重点文物保護単位でもあり、一部の建設には事前に国家文物部門の承認を得る必要がある。これはつまり投資周期の長期化を意味する。投資額が大きく、周期が長く、加えて文化観光プロジェクトは時間をかけて育成する必要があり、効果が現れるのが比較的遅い特性から、業者が尻込みするのも無理はない。

　投資家は文化観光プロジェクト初期の巨額の基礎コストを負担したがらず、「七通一平」などの公共施設整備といった投資額が大きく回収が遅いプロジェクトは、まさに国有企業の職責である。「国有企業の前期投資を通じて、プロジェクト投資の不確実性とリスクを低減し、基礎が整った『舞台』を設置し、さらには模範を示して牽引し、民間資本の投資信頼を高め、彼らを招き入れて『芝居』を上演させ、最終的には共同でプロジェクトの高品質な発展を推進できる。」と葫蘆島市委員会主要指導者は見ている。

　果たして、興城興投文旅グループは地方政府の特別債券資金を争取し、3億800万元の古城区域市政インフラプロジェクトを実施。「旧きを修めるには旧きに倣え」の原則に基づき古城老街両側の古建築を修復し、同時に給排水、電力、通信線路の地中化および古城環状道路、景観緑化などの公共付帯施設向上工事を実施した後、古城は一新され、空前の繁栄を迎えた。

　多数方がWin-Winとなる文化観光発展事例

　9月中旬、また一つフォークソングバーが古城への出店に契約した。現在、複数の有名ブランドが古城商街に集結し、各種の文化創意品、無形文化遺産、旅行写真など特色ある店舗が星羅棋布している。1年足らずで、古城の文化観光業態はほぼ半数が更新された。

　「トレンド」化した古城は、もはや誘致に悩まない。「計画された古城の文化的特質を守るため、我々は常に適切なパートナーを選んできた。」古城の文化観光運営及び誘致を担当する瀋陽嘉点芥茉公司興城プロジェクト責任者の張子冬氏は語る。

　張子冬氏はまた、東北地区初の大型没入型実景演芸「寧遠にて」のプロデューサーでもあり、古城インフラ改修後に招致された最初の民間資本代表でもある。去年下半期、古城インフラ改修工事が半分まで進み、人気が次第に高まったことが彼の関心を引いた。彼は、ここは他の無から景観を作り出す景勝地とは異なり、「寧遠の戦い」「寧錦の戦い」などの歴史的題材が最高の集客の売りポイントであり、重要なのは観光客が好む方法で表現することだと確信した。そして、これはまさに彼の得意とするところであった。

　両者は意気投合した。興投文旅は嘉点芥茉と投資提携し、古城内に復元された薊遼督師府と隣接する遊休施設に舞台を設置し、「寧遠にて」演芸を制作完成させた。演芸の運営は民営企業が担当し、国有企業は全面的に支援・協力する。

　まさにこの市場の法則に合致した制度設計が、双方の協力を一貫して緊密なものにしている。それぞれが長所を発揮し、国有企業はプラットフォームを構築しサービスを提供して良好な運営環境を整え、民営企業は職責を全うしてコンテンツの専門的・市場的運営に努め、両者が合力して古城の文化観光産業を優れさせ、強くし、大きくしている。

　古城のインフラ改修はまだ進行中であり、「寧遠にて」の公演に影響を与えるのは避けられない。外部の不利な要素に直面し、嘉点芥茉は気落ちするどころか、繰り返し公演の物語の細部を最適化し、「寧遠にて」をますます完璧なものにしている。「ここ1年近く、私はこの劇を10回近く観たが、毎回新たな変化があり、劇はますます良くなり、観れば観るほど好きになる！」と興城市委宣伝部副部長の畢偉氏は語る。

　「一つの城が一本の劇を成就させ、一本の劇が一つの城に火をつける。」張子冬氏側の専門性を高く評価した興投文旅は、古城商街の商業管理についても嘉点芥茉と協業を展開している。この深まり続ける相互信頼が、古城の観光事業を絶えず高みに押し上げ、多数の方のWin-Winを実現している。

　「寧遠にて」の公演は、最初は週2回から、すぐに連日公演に変わり、チケット料金は上昇を続けるが、依然として供給が追いつかない。市民は自発的に出演者に水や食べ物を贈り、進んで古城の営業秩序を維持している。「我々は皆、この発展から収入を得ているから、嬉しいんだ！」と彼らは言う。今年に入り、古城は観客数が激増したが、苦情一件も発生していない。

　同様に、覚華島では、興投文旅が今年、環島道路、菩提巷商業街を修復し、碼頭公園、菩提園景勝地を新設し、初の高級ホテルを開設し、民営企業の投資信頼を固めた。すぐに、長年遊休していた民営企業の高級ホテルが改装して営業を再開し、キャンプ場、デザイナー民宿などの民間資本プロジェクトが相次いで契約を結び、長年停滞していた島の観光開発は再び活気づいた。

　山海連動、全域勃興。省・市の支援の下、全長215キロの綏中県山海長城観光道路の主体工事がまもなく完了する。この道路は東戴河銀泰水星海上楽園を起点とし、終点は範家郷で凌綏高速と接続する。沿道には、碣石宮遺跡、九門口長城、長城博物館、永安堡郷西溝、小河口、錐子山長城、峡谷漂流、塔子溝双塔、加碑岩郷遼西第一党支部、秋子溝郷映山紅景勝地、範家郷三山、前所果樹農場など20以上の有名観光スポットが連なる。現在、沿道の観光誘致は引ききれないほどであり、東戴河国家級観光リゾート区と九門口長城5A級景勝地の創設作業が急ピッチで進められている。

　「流量」を「エネルギー」に転換する発展への期待

　今の寧遠古城は、葫蘆島で最も輝く都市の応接間となり、葫蘆島を訪れる観光客の「首要目的地」となった。これは「寧遠にて」という都市文化IPの魅力である。

　「調子に乗るな！我々の使命は都市文化を植え付けることであり、成功にはまだ程遠い。」最近、張子冬氏はよく「寧遠にて」の若手俳優たちに戒めている。公演がますます評判を呼ぶにつれ、多くの俳優が「スター」となり、ファン数が1万人を超えるのは珍しくない。

　最も誇りに思っているのは興城市民である。「以前、夕食後は皆海岸を散歩していた。今では、皆古城へ遊びに行く。古城が明るくなり、美味しいもの、楽しいものが至る所にあり、数日行かないだけで新たな変化があるからだ。」興投文旅グループ公司副総経理の裴兵営氏は語る。古城の人々の内から外に溢れる文化的自信は、かつてないものだ。

　没入型演芸ができたことで、観光旅行は文化的深度旅行に変わり、「流量」は自然と「留量」に変わった。今年、興城市の民宿業者の数が大幅に増えただけでなく、多くの葫蘆島市民も民宿経営の大軍に加わっている。

　観光業という一業種の興隆が、百業種の活況をもたらし、都市の知名度、観光客数、消費額の「三量同時上昇」を実現している。高品質な落花生の主産地として、隔年で中国国際落花生年次総会が興城で開催されており、これも興城の名産品である落花生菓子を爆売れさせ、古城の小さな店で一日の売上が1万元になるのも夢ではない。「北方黄金海岸、四季康養胜地」はもはやスローガンではなく、今年上半期の97億元の観光総収入が、葫蘆島の百億級文化観光康養産業クラスター構築が初戦勝利を収めたことを宣言している。

　変革は、持続的に深化している。「人流が滾々と湧き起こす活力、消費の乗数効果、党委員会・政府の科学的で効率的な管理は、いずれも葫蘆島の都市的価値を示し、葫蘆島の都市イメージを再構築し、外界の葫蘆島への発展期待を高めている。」と葫蘆島市政府主要指導者は述べている。

　これはまた、より多くの商業投資と産業立地を惹きつけている。海浜の葫蘆島龍湾中央商務区では、投資額5億5千万元の隆東万豪五つ星ホテルプロジェクトの主体建設がこのほど完工した。多くの地域で五つ星ホテルがビルを出て露店商をして生計を立てる状況の中で、なぜこの民間資本プロジェクトは逆風に逆らって進むのか？「我々は葫蘆島を強く確信している。文化観光のネット紅都市は、開放性、友好性、活力に満ちていることを意味し、必然的に各界の人材の関心と投資を集め、こうした都市には競争力と未来がある。」とプロジェクト責任者は語る。

　果たして、文化観光の「流量」は葫蘆島の都市発展「エネルギー」に転換されつつある。ここ数年、葫蘆島のプロジェクト建設は量質ともに向上し、経済構造は日々最適化され、振興発展の歩みは力強い。