遼寧省、瀋陽市。古典バレエ「白鳥の湖』が間もなく上演される。遼寧大劇場の舞台の横幕に、頭に白い羽で飾られ、白いドレスを着たダンサーが、つま先立ちで優雅に踊り、10分後には、彼女は「白鳥」となって舞台に立つ。
彼女は遼寧バレエ団の日本人ダンサー加納身佑希さんである。遼寧バレエ団で留学そして仕事してきた12年間の間、加納さんは遼寧バレエ団に従い、遼寧省の各大劇場を回って公演を行い、北陵公園近くの旧劇場から渾南区の新劇場への変貌を目の当たりにし、リハーサルホールやその他の設備を継続的に改善されることとともに、彼女自身も技に磨きをかけてきた。「遼寧バレエ団のリハーサルホールの数は10年前と比べて5倍も増えて、いずれも広くて明るいし、現代的である。新劇場へ引越しをしてから、わが団には小さな劇場も持つようになりました。」今働いている環境を語ると、加納さんはほめたたえた。
ダンサーたちのリハーサル環境がどんどん良くなり、遼寧バレエ団が創作した演目もより豊富になっている。遼寧バレエ団に来たばかりのとき、加納さんは主に「くるみ割り人形」な
どの西洋バレエの演目に参加していた。近年、国際における遼寧バレエ団の影響力がますます高くなり、多くの国とアート・コラボレーションを展開し始めている。ダンサーたちはロシアやデンマークなどさまざまな流派のバレエが演出できただけでなく、「花木蘭(ファ・ムーラン)」や「八女投江」や「鉄人」など中国オリジナルの作品も多く演じ、バレエを通じて「足の先」で中国の物語を伝え続ける。
公演市場の拡大と観客のレベルの向上は、エレガントな芸術により大きな舞台を与えた。加納さんは、ここ数年、瀋陽市民の芸術鑑賞能力は向上し続けていると感じた。10年前、バレエは観客にとって「高嶺の花」のような存在にすぎなかったのにひきかえ、今は一枚のチケットですら購入するのが難しいことが多く、ほかの市や省外の観客でさえ瀋陽までショーを見に来たという。「チケット販売開始当日に売り切れる公演もあり、劇場の外でキャンセルされるチケットの二次販売をいらいらしながら待っている観客をよく見かけますが、公演が始まると仕方なく立ち去るしかない」と加納さんは語った。
加納さんは自分のことをダンサーであると同時に観客でもあると言う。余暇のある時に加納さんはよく遼寧大劇場や盛京大劇場に足を運び、観客の間に座って、このエレガントな芸術を楽しんでいる。公演途中の休憩時間には、周りの観客が公演の感想を熱く語り合っているのをよく耳にする。「遼寧省では、エレガントな芸術を鑑賞する観客がますます増えてきて、彼らは消費力も鑑賞力も持っていることから、遼寧省でのこのようなエレガントな芸術の未来についてとても自信を持っています。」 と加納さんは語った。
継続的な普及と宣伝によって、潜在的にエレガントな芸術を好む人を数多く育ててきた。遼寧省では、子供向けのバレエ市場が発展の最中にあって、その勢いがなかなか衰えないだけではなく、大人も芸術的教養を高めるため、芸術訓練に熱心である。瀋陽市の南にあるバレエ・トレーニング・センターでは、遼寧バレエ団のダンサーたちがしばしば空き時間を使ってここに通って、生徒たちに基礎トレーニング・コースを指導する。彼らはアマチュアだが、つま先立ちでプロのように踊ることができ、手足を上げる度に自然な優雅さが漂う。
加納さんは遼寧省におけるエレガントな芸術の繁栄と発展を目に当たりにし、また一つ一つの役を「足の先」の芸術で演じることによって遼寧省の物語を語り、さらに信頼でき、可愛らしく、尊敬に値するという中国のイメージを示している。